Yello-Bole Double Carburetor #4907


今回のパイプはKaywoodieのキャブレターを一歩進化させた?Yello-Bole Double Carburetor。なんかネタ臭さ満点のパイプではありますが、これはこれでかなり良く出来たパイプと言えるのかもしれません。

少しでも喫煙効率を良くしようと、現在でも様々な仕掛けを施したパイプがありますが、過去のパイプの歴史を紐解いてみると既に戦前には殆どのアイデアは出 てしまった感があります。むしろ、手間のかかる製品でも売れる市場があった昔の方が、この手の製品は賑わっていたと言えそうです。中でもポピュラーだったのがKaywoodie Carburetor。底に空気穴を空けることにより燃焼効率等の向上を狙ったものでしょう。後にDunhillでもAirstreamという似たようなシステムも出ているところをみると、そこそこ需要があったのかもしれません。ナンバーは#4907。おそらくは49がDouble Carburetorのナンバーなのだと思います。シェイプナンバーは07なのでシェイプ表通りならラージビリヤード。そのまんま肉厚なビリヤードで重さもそれなりにあります。


刻印はこの通り。まだ、パテントナンバーは刻印されていないようです。

底にはIMPORTED BRIARの刻印。ボウルの底には"U"の刻印もあります。これにより製作時期特定のなんらかの手がかりになるのかもしれませんが、参考となる資料が見つかりませんでした。


ヴァルカナイトの質はあまり良くありませんが、意外とステムの造りは良いです。今回はフィットメントは付いて居ませんでした。


問題のDouble Carburetorシステムのアップ。最初にこのシステムを見た時はなんて安直な発想なんだろうと思いました。しかし、実際に手にしてみると、なかなか考えて造られたシステムであることがわかります。元?のKaywoodieのキャブレターと比較してみるとありがちだった欠点について対策がとられているようです。KWDのキャブはボウル内のフジツボ状のパーツ(Carburetorのパテントの図を参照)のせいで底の方のタバコが燃焼し辛く、なによりカーボンを削る際にかなり邪魔になります。一方ダブルキャブの方はそれを踏まえて、穴を二つにし、外に出すことによって解決しています。さらに、このパーツが支柱のなり、かなり安定した状態でパイプを置くことも可能です。ただ、右の写真で穴の大きさを比較するとわかるのですが、穴を2個に増やしても、径はかなり小さくなっています。本来の目的である空気の取り入れ口としての役割は元の方が良いかもしれません。あと、ボウル側には小さな穴しか開いていないので、カーボンが詰まりやすいでしょう。何事も完全とはいかないようですね。

まあ、いろいろと面白いこのパイプですが、吸って美味いというのが一番良い点と言えそうです。これはシステム云々というより、ブライヤーの質の問題と言えそうですが。確かに燃焼効率が良いのは事実なのかもしれず、かなり良い具合に美味い煙が舌に来ます。Kaywoodieとは違いスティンガーが無い分、ドローも軽いのも〇。今回はC&D #968 Odessaを詰めて一服してみましたが、オリエントの甘味と香ばしさが実に心地よかったです。前回の#2383はVaをチビチビという印象なら、こっちはバルカン系のブレンドを煙量たっぷりで吸うのに向いていると思います。いずれにせよ、戦前のYello-Boleはかなりの良質パイプと言えるでしょう。
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://sqbull.blog120.fc2.com/tb.php/44-ee9091c0