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England's best pipe value

Sutliff : Count Pulaski

cupu1.jpg
 個人的に最近注目しているメーカーはSutliff Tobacco Companyです。今回はそのサトリフ製のタバコの中でも特に風変わりなこのバルクタバコについてレビューしてみます。

 私が最近になって興味が出てきたのが「American-English」というジャンルです。これはアメリカ人が考えたイングリッシュミクスチャーの派生品と解釈していますが、なかなか定義が難しいです。あえて定義してみると、
・ バーレーが入る
・ 着香は少なめ
・ 葉の種類がかなり多種になる事が多い
という感じになるかと。
 パッと思いついたのは昔日本でも売られていたJohn MiddletonのWalnut(ほぼ全種類のタバコ入っている奇妙な安タバコ)ですが、一言で言えばバーレーベースの強着香タバコではないバーレー入りのブレンドとでも言うのでしょうか。そういう点ではアメリカのベテランスモーカーが究極のバーレータバコと推すLane LimitedのEdgeworth Sliced(バーレーフレーク)もこのジャンルに含まれるのかもしれません。

 いずれにせよ、今では少数派のタバコなのではないかと思います。そんな中、たまたまレビューを見て興味を持ったのがこのタバコでした。TobaccoReviews.comでは
 「世界最高のタバコの一つ」 
 「缶入りだったらかなり高級なタバコと扱われてもおかしくない」
というような文句なしの星4つの賛辞が多いのですが、
 「ただの安たばこ」 
 「中途半端」
という星1~2つの否定的意見もちらほら見かける、肯定的意見が多めの賛否両論タバコで、星3が圧倒的に少ないです。そういう点が非常に気になりました。

 ちなみにこのThe Count Pulaskiはアメリカ独立戦争で活躍し、後にアメリカ騎兵隊の父と呼ばれたポーランド人貴族、カジミール・プラスキの名前を冠したとの事ですが、この名前からしても面白そうな感じがしますね。

cupu2.jpg

 葉の状態はこのような感じ。丁度よい具合に湿っていますが、Sutliff製のバルクはこの湿り具合も賛否両論の理由のようで、「素晴らしい水分量」と推す声もあれば、「保湿剤が余計」という否定論も多いです。個人的にはこのぐらいの保湿量が理想的だとは思うのですが、こればかりは人それぞれ好みとしか言いようがありません。もう一つSutliffのタバコの特徴を挙げればは葉のカットが様々な点です。デンマーク製のミクスチャーは大体がシャグよりは太いという程度の細いカット統一されており、それはそれで火付きが良いので利点ではあるのですが、個人的にはこのぐらい疎らなカットの方が好みです。

 恐らくベースのタバコはバーレーです。メーカーの説明にも
 The Count Pulaski blend from Sutliff is a complex blend of four distinct sub-blends.The leaf content is a mixture of burley shag, burley plug, burley cube, Carolina flake, Virginia and Latakia.
としっかり書かれています。
つまり、
・ バーレーシャグ
・ バーレープラグ
・ バーレーキューブ
・ カロライナフレーク
・ ヴァージニア
・ ラタキア
の混合ということになりますが、これはバーレー3種混合とその他で4つのサブブレンドという事なのでしょう。
フレーバーは
 Rose of Latakia and rum with a hint of anise
との事ですが、ラムとアニスは分かるのですが、ローズオブラタキアとはなんなのかよくわかりません。そしてオリエンタルが一切含まれていない点が一般的なイングリッシュミクスチャーとの最大の差でしょう。正統派のレシピからかなり逸脱しており、このあたりの無茶苦茶さがAmerican-Englishらしさでもあるのでしょう。

 吸心地は軽いです。大抵のラタキア物はよほどヘビーに作らない限りはヴァージニアブレンドに比べれば軽いものですが、その中でも軽い部類かと。では、ラタキア感は無いのか、となるとそんなことはなく火を付けた直後にラタキア入りだな、と認識出来る程度には香ります。舌にはほんのりとした甘さが感じられ、バーレー由来の辛さ、俗にいうバーレーキックはほぼ感じないと言えそうです。着香の方は言われなけばラムとアニスとは判らないでしょうね。どちらかと言えばアニスの方がアクセントになっているようではありますが。それぞれが主張してくるブレンドではなく、一体感のある味でそこが最大の長所と言えそうです。

 私が星を付けるとしたら文句なしに★★★★です。隠れた傑作と言って良いのではないかと思います。一番の理由は欠点らしい欠点が見当たらない点です。単純に吸っていて辛さを感じずに甘いというだけで高得点ですが、香りも心地よく、火付きはそれほど悪くは無く、燃焼はクール、部屋も臭くならず、そしてかなり廉価、、、確かに、アメリカの一部のパイプスモーカーが最高のパイプタバコと推す理由も頷けます。これだけ個性的でありながら上品で飽きないというタバコはそうそう無いでしょう。特に古いダンヒル・シェルやサシエニといった甘さが強めに出るパイプに合っているような気がします。あとは熟成させる事でより秀逸なタバコになる可能性も高く、まだまだ伸びしろもあるのではないかと。

 逆にこのタバコに★★☆☆の点を付ける方が居る理由を考察してみると、まず典型的なイングリッシュミクスチャーを期待して買った場合はがっかりするかもしれません。ラタキア物は何を期待するかによって評価は変わると思うのですが、このタバコに関しては間違っても正統派のイングリッシュミクスチャーやバルカン系を期待してはいけません。そっちの路線は順当にお金を出してGLPのWestminsterを買う、もしくはより安く大量にとなれば同じSutliffのバルカン系のコピーブレンドかPeter StokkebyeのProper Englishあたりのバルクを買った方が期待できるでしょう。

 もうひとつ考えられる点は燃焼温度。恐らくは豪快に煙を出す吸い方をするとバーレーの辛さが目立つのではないかと。実はこの燃焼温度が評価を真っ二つに分ける要因なのかもしれません。ラタキア物はある程度、煙量多めで吸った方が感じが出ることは理解していますが、バーレーが入っているブレンドは火力を若干抑え目の方が良いと思います。

 どちらかと言えば、様々なイングリッシュミクスチャーを試した方が何か吸いやすい変わり種を、という需要のタバコかと思います。初心者でも十分に吸える軽快なブレンドですが、むしろこの秀逸さはトゲやクセのあるタバコに飽きてしまったベテランにこそお勧めできると言えそうです。

* 追記
 吸い続けているうちに徐々に欠点も感じるようになりました。
その欠点を挙げると
 ・ 風味、味わいがライトすぎて、長時間吸った際に虚無の味に
   なっている場合がある
 ・ 燃焼温度は低めでも燃焼時間が短い場合が多い
というようなものです。結果的にはストレス無く吸えるので、価格は安くとも葉の消費量は多く、そこも欠点と言えます。

 確かにこれは★★★★でもあり☆☆☆★でもあり得るような気がしてきました。やはりこれはベテランスモーカー向けの変わり種ブレンドという事になるのでしょうか。ストレスの無い吸い心地には違いないですが、優れたVA/PERブレンドやどっしりとしたバルカン系のブレンドと比べると満足感は薄いです。しかし、この低価格でこの変わり種ブレンドが楽しめるという利点は大きいので、何かのついでに4ozぐらい試してみても損は無いとも思います。


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