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England's best pipe value

GL Pease : Westminster

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 なにも今更、という感も無い訳ではありませんが、久しぶりに極めてスタンダードなイングリッシュミクスチャーのレビューをしてみます。

 G.L Peaseは今までに数々の魅力的なタバコを発表してきましたが、このウエストミンスターは、昔のダンヒル・ロンドンミクスチャーを再現する為に作られたブレンド、との事。GLPとしては結構珍しい経緯で作られたタバコのようにも思えます。詳しくは本人が書いた製作記を読んでみて下さい。

 要は、マレイ製ダンヒルまでは我慢出来てもオーリック製ダンヒルは我慢ならなかった、という事でしょうか。その結果、当時の未開封缶を入手し、拡大鏡とピンセットで一つ一つ葉を分別しブレンド比率を推定する、というかなり地道な作業をしているのが面白いです。今までに様々なダンヒルのクローンタバコを標榜するブレンドがありましたが、ここまで力技な方法で研究したタバコは珍しいのではないかと。

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缶の説明は
The very essence of the traditional English mixture; rich, elegant, refined, and exquisitely balanced. New World red virginias are enhanced with a gentle caress of bright leaf, then lavishly seasoned with rich oriental tobaccos and generous measures of noble Cyprus mountain Latakia. A satisfying blend, presenting layers of flavor to delight the senses as it develops in the bowl. The perfect every-day English.
との事で、もちろんここにはロンドンミクスチャーの事は一言も書いておりません。一番注目する点は”The perfect every-day English.”と書いてある点でしょうか。恐らくは、これが最大のコンセプトです。

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 中身はこのような感じ。典型的なラタキア入りのイングリッシュミクスチャーです。湿度も絶妙で、流石はGLPといったところ。匂いは例によってラタキアとオリエンタルの混合臭で目新しい点はありません。

 さて、改めてじっくりと吸ってみると意外と大人しいタバコであることに気づきます。そこまでラタキア感が強いという印象は無いです。上手く説明は出来ませんが、心地よい香りと甘さが最後まで続きます。上品な甘さは素晴らしいけど、一見は普通でインパクト不足では?と思う方も居るかもしれません。ただ、このタバコの真価は味の濃さやラタキア感の強さではないと私は考えています。先ほどのグレック・ピース氏本人の製作記でも旧ダンヒル・ロンドンミクスチャーの印象として、

It had a richness, a sophisticated elegance, and a complex nature that kept it from being tiring.
It was full enough to satisfy, but never overbearing. It wasn’t as exotic as some of my other faves,
but neither was it as pretentious.

「豊かさ、洗練された上品さ、そして複雑な性質を持ち、飽きがこない。
十分な満足感がありながら、決して威圧的ではありませんでした。」

と語っており、確かにこのタバコもそのような印象がします。特に「威圧的ではない」という表現がここでは重要でしょうか。ただ単に味にインパクトがあるタバコはこれまでに何度も吸ってきましたが、飽きがくることも多かったです。このタバコはそういう点は皆無です。いつどこで何時に吸っても満足感があります。何といいますか、名品たる所以はこういった余裕が重要なような気もしてきました。

 という訳で紆余曲折を経て今の自分がとりあえず基準にしているイングリッシュミクスチャーはこのウエストミンスターに落ち着いています。マクレーランドのフロッグモートンシリーズを愛用していた自分としては物足りなさを感じない訳では無いのですが、もうこれはこれで、と割り切るしかないとも思っています。考えてみれば、ロンドン近郊のタバコ店でブレンドされたイングリッシュミクスチャーは今や皆無な訳で、英国モノにこだわるジョンブル派な方にとっても最高の妥協点なのではないかと。これ以上無いというぐらいに真っ当なブレンドで、2007年の発売から何年も経過しても評価は高く、TobaccoReviewsの評価が280のレビュー数で3.34点(2023年時点)という圧倒的高評価。巨大な16oz缶まで出ているというのはそれだけ愛用者が多いという事であり、これが現在売られている高品質イングリッシュミクスチャーの基準点だと言い切っていいのかもしれません。

 とりあえず正統派のイングリッシュミクスチャーを試してみたい方にはお勧めです。というか、パイプにこだわりがあるという方には一度は試して頂きたいタバコです。色々と回り道をするのも楽しいですが、それでもまずはこのような真っ当なタバコを試すべき、だと私は思います。
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