Sutliff : Matured Red Virginia 515 RC-1

#5100無き後、その代替品を探すのはかなり難しいと言わざるを得ないですが、一応それを標榜するブレンドが無い訳ではありません。今回はそんな無茶をしている廉価なバルクタバコをレビューしてみます。
これは私個人の感想に過ぎないのかもしれませんが、ヴァージニアブレンドをメインに吸っているパイプスモーカーにとってここ1年ぐらいで急に「冬の時代」になってしまったのでは?という危機感があります。少なくともここ10年ぐらいで一番厳しい時になった感は拭いきれないかと。発端はマクレーランドの廃業、これはあまりにも大きな影響でした。これに関しては一つのジャンルの終焉といっていいのかもしれません。これにより、愛用者は他のメーカーに切り替える選択しかない訳ですが、その選択肢が妙に少ないのが気になります。
まず挙がるであろうメーカーはイギリスはレイクランドの老舗GAWITH HOGGARTHですが、SAMUEL GAWITHとの再統合の結果なのか、かなりの品薄状態に。では、K&K勢の代表的ブランド、ラットレーか?となるとこちらもほぼ品切れ状態。ならば、他のK&K製OEMなら、と思うもやはり品切れが多い。Germainはもうかなり前から操業しているのかどうかすら怪しく、期待は出来ない。となると、残りはCORNELL & DIEHL/GL Pease、SAMUEL GAWITH、MAC BAREN、ORLIK/Peter Stokkebye、といったところでしょうか。まあ、ひとまず4系統は残ったとは言えますが、とは言え厳しい状態には違い無いでしょう。ヴァージニアがメインのスモーカーにとっては危機的状況と言ってよいと思います。これはアメリカ国内のタバコに関する法改正も多大に影響しているらしいですが、詳しい事は私にはまだわかりません。日本国内で好みのタバコが廉価かつ潤沢にあるのであればそこまで考える必要はないのかもしれませんが・・・なかなか難しいものです。
私は常喫がラットレー→エソテリカ→マクレーランドと移動していったのですが、この3つ全てが入手困難という状況は厳しいですね。特にエソテリカとマクレーランドは私の理想とするヴァージニアブレンドを作っていたメーカーで、この2つが無いという状況かなり辛い。こうなった以上、他に切り替えていくしかない・・・のはわかってはいるつもりではあるのですが、ぽっかりと穴が開いた状態なのは否定出来ませんし、完全な代替品が見つかる可能性が極めて少ない以上はこの穴が埋まることは無いのかもしれません。と言う訳で、妥協しながらも新たな模索を続けているところです。
さて、マクレーランド、特に#5100 Red Cakeの代替品を求める層にアピールするメーカーが出てくるだろうと若干の期待はあったのですが、それを最初に大体的にやったのがSutliffというブランドだったのは面白いです。
Sutliffはアメリカのかなり古いタバコ会社。1849年創業でアメリカ最古と同社は主張しています。古いアメリカンパイプタバコ、Mixture79を作っていたメーカーと言えば、ベテランのパイプスモーカーはわかるかもしれません。
ただ、タバコ業界にありがちな買収、統合の繰り返しでAltadis USAのパイプタバコ部門なのか、マックバレンのブランドの一つに過ぎないのかいまいちわかりづらいですね。日本国内ではガレリアという着香タバコシリーズがここの製品で一番ポピュラーかと思いますが、最近はノンアロマティックの製品も盛んに出してきています。ただ、盛んにバルクで出すブレンドが名前がそのまんまでダンヒルやエッジワースのコピーであることを隠さないのが面白い点ですね。
このMatured Red Virginia 515 RC-1もあまり元ネタを隠す気が無いようです。そもそも元ネタを吸っていた層にアピールする為にはこれがベストということなのでしょうけど。

葉はこのような感じ。確かに色も臭いも似ています。違いは葉の固さで、オリジナルの#5100に比べて柔らかい印象です。臭いも似ているとは言え、そこまで強いビネガー臭はしません。
そこまで語るべき能書きもないので、どんどん吸ってみるしかありません。半年間位試してみましたが率直に言えば到底代替品にはなり得ない、という予想通りの感想になります。しかし、そこそこ元ネタをリスペクトした良質なコピーブレンドだとは思います。
まず#5100を詰めて着火した直後に来るやや酸味のある甘さや、独特な煙の臭いまでは再現されていません。全体的にパワー不足です。一番の差は「甘さ」でしょうか。#5100はしつこいぐらいのベタベタな甘さがありました。このタバコはそこまでの甘さはありません。そして、若干の辛さも感じます。
とは言え、大筋では似ていますし、これはこれで甘く美味しいヴァージニアブレンドなのでは、と。元ネタよりも良い点は着火のし易さと、チャンバーにべったりとタールが付くというようなことは少ない点でしょうか。むしろこういう点では#5100がいまいち吸い辛いと思っていた層に向いているのかもしれません。逆に悪い点は単純な甘さ不足。これは否定出来ないかと。やはりこういう基本的な所でマクレーランドは比類なきメーカーであった事を思い知らされます。
まあ、完璧では無いにせよ廉価で吸い易いので元#5100愛用者は試してみる価値はあるのではと思います。むしろタバコのキャラクターとしてはC&DのBAYOU MORNINGあたりが比較対象になるのかもしれませんが、これはこれでなかなかのものです。また廉価という点ではPeter StokkebyeのLUXURY NAVY FLAKEあたりとも競合するブレンドになるのかもしれません。そして2~3年寝かせてみても面白いのではないかと。何より廉価で吸い易ヴァージニアブレンドに選択肢が増えたことは歓迎したいところです。
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