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England's best pipe value

Roland : STRAIGHT GRAIN

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 さて、今回も深代製のパイプですが、これは狙って買った訳ではなく、偶然なんとなく手に入ったパイプです。不思議なもので短期間のうちに3本の古いローランドが手元に揃ったという訳になります。なりゆきで集まるというのもなかなか面白いものです。


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 シェイプはリバプール。私の考える最も実用的なシェイプの一つです。例によってシェイプナンバーはありません。注目すべきは当然ながらSTRAIGHT GRAINの刻印でしょう。例によって楼蘭土を参照してみましたが、ナチュラル以上のグレードについてはハンドメイドラインであるツトムを除いては記載されていませんでした。一時期存在した特別グレードかなにかなのでしょうか。

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 反対側の刻印はこの通り。またしても"CENTURY OLD MEDITERRANEAN BRIAR ISRAEL"の刻印があり、恐らくは以前紹介したナチュラルと同じような品質のブライヤーを使用したものと思われます。しかし、刻印のフォントは異なっており、今回のパイプの方が精密な感じではあります。これは刻印を複数用意するほどイスラエルから良質なブライヤーが輸入できた時期があったということなのかもしれません。

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 ステム周りの造りもナチュラルと同じようなもので、60年代のGBDのハンドカットステムを彷彿とさせる造りの良いものです。もう単純な工作技術に関しては英国となんら遜色が無かった、と断言して良いでしょう。銜え心地も十分です。

 さて、このパイプが他とは違う最大の要素は言うまでもなくグレード名としてSTRAIGHT GRAINを名乗っている点でしょう。パイプ業界でなにかと珍重されがちだったストレートグレイン。今ではそこまで話題になる事は無くなったようではありますが、とは言え、ありがたい気分になるのは事実かと。
 しかし、このストレートグレインという物の定義は単純なようで難しい気もします。実のところ、ストレートグレインを自称するパイプはそう珍しい物ではありません。その証拠にebayのパイプカテゴリーでStraight Grainを検索してみると、大抵はよくわからない無名パイプが数本は出品されていますし、その価格もそこまでバカに高い物ではありません。しかし、そのほとんどが本当にストレートグレインなのかどうか疑わしい点はあります。定義としてはボウルの側面の杢目が360度柾目ということになりますが、この定義だと大抵はどこか一か所は杢目が乱れていますし、ストレートグレインによく似たフレームグレインではないのか、というパターンもよくあります。そして大抵は良いグレインの為に多少の疵は目をつぶることも多いです。

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 このパイプを検証してみると、まず両サイドに関してはストレートグレインと言って良いかと思われます。ボウル下部にやや乱れがあり細かいフローもありますが、まあこんなものでしょう。

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 シャンク側の面は文句なしにストレートグレインです。ただ、ボウル全面はやや寂しいと言わざる負えません。やはりこのパイプも完全に360度柾目という訳では無いようです。

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 しかし、このシャンクの部分まで柾目が続く、堂々とした風格はストレートグレインを名乗るに値すると思います。少なくともダンヒルDRのAやBあたりとは同格かそれ以上ではないでしょうか。色もツヤも文句なしに美しいです。
 しかし、私は常々思うのですが、マシンメイドパイプとは言え、このようなパイプが偶然量産品の中から出てくるとは思えないのです。どう考えても良質なプラトーが入荷した際にごく少数ワンオフで作られたと考えるほうが自然だと思うのですが、実際のところどうだったのか非常に気になります。

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 レストア前のチャンバーはこんな感じでした。いろいろな中古パイプを見てきましたが、ここまで几帳面に処理したカーボンは初めてです。前のオーナーは喫煙具店でこのパイプを手にして、ウッキウキで自宅に持ち帰って、それ以来書斎で大切に大切に使っていた、という光景が目に浮かぶようです。恐らくは自慢の逸品の一つだったのでは?と思いますが、それがなんの因果か私の手元にあるというのも不思議な縁です。

 吸い味に関しては・・・こりゃあ参りましたねえ、といったところ。久々に味わう衝撃的な吸い味で、私の考える美味いパイプという意味では、恐らく所持している中でトップ5は確実、タバコの組み合わせと体調によっては一番美味いパイプかもしれません。今のところ、自分が最高に気に入っている吸い味のパイプは古いサシエニ"HENDON"で、時点が60年代のダンヒル・シェルの"O"ですが、それらのパイプと同程度に美味いです。最初に適当にマクレーランドのバルク#2025をほぐして試した時は、リップに砂糖でも塗しているじゃないかというぐらいに強烈な甘さを感じました。まあ、レストア終了後一発目はそこそこイケるじゃないか、という事はよくあることなので初見の印象はそこまで参考にはしていないのですが、回数を重ねてもさして味が変わらないので、これがこのパイプの特性なのでしょう。レイクランド系の英国製ヴァージニアも非常に美味でしたが、私としてはマクレーランド製のやや強引な味わいのヴァージニアが合っているように思いました。

 ちなみに私の考える美味いパイプの条件を極端に簡略化すれば、
1.濃く甘い味が出る
2.辛味や渋みが少ない
の2点になりますが、世の中そう上手くはいかないもので、味が濃くなれば雑味も出やすく、クセが抑えられれば今度は味が薄くなる、というような事が多いかと。その結果、味がしないよりかは多少の雑味があっても味が強く出るパイプを選ぶ傾向が強いです。しかし、極稀に味も香りもしっかりと感じるのに余計な辛味や渋みは極力抑えられているパイプというのものあるもので、このローランドもその1本と言えます。恐らくは各人に合った吸い味の絶妙なバランスというものがあって、たまたまこのパイプは自分に合っていたと解釈していますが、まだまだ謎はありそうです。

 さて、一部のスモーカーにはグレインと吸い味の関連性も気になる点でしょう。これはかなり昔の本でも関連性は薄いという結論が支配的なようですが、私としてもその意見に異議はありません。理由は単純で地味な杢目のパイプでも十分美味しいパイプは古いパイプだとよくある事だからです。ただし、だからといって完全に無視をしている訳ではないですけどね。良いにこしたことはないですし、その方が吸う本人が楽しめます。何より、作る職人の身の入れ方が違ってくるのも事実かと。このパイプを見ていると、普段頑固一徹な深代の職人が珍しいイスラエル製の高樹齢ブライヤーを手にした際にかなりワクワクしながら作ったのではないか、と自分は想像します。

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 今回は久々に驚かされました。たまたま集まった古いローランドはすべて全く違う場所から偶然に集まったもので、前回のサンドブラスト、前々回のナチュラルで大方の古いローランドの結論は出尽くしたかと思っていました。

  最後に偶然に揃った三本の比較。それぞれ良いパイプですが、自分としてはイスラエル製ブライヤーの2本が調子が良く、ナチュラルよりこのストレートグレインの方が遥かに旨味が強い印象でした。しかし、これはあくまでも個人の感想であり、人によってはナチュラルの方が上手く感じるかもしれませんし、3本とも好みの味ではないかもしれません。

 しかし、ここまで美味いと逆に落ち着かない、という不思議な感覚もあります。恐らくは自分は美味いパイプに出会うと無意識にその美味さに理由を求めてしまう、ある意味では悪いクセがあるからではないか、と考えています。
 今回の場合で理由をつければ、ブライヤーの質がある程度の吸い味を左右していると信じている私としてはイスラエル製の高樹齢ブライヤーが要因、真っ先に考えますが、だとすればナチュラルとここまで差が出るのは不自然です。次はなんからのキュアリングか?とも考えますがグレード毎に違う処理をやっていたようには到底思えません。他にはチャンバー形状や煙道の径などのエンジニアリング面での差も考えられますが、関連はあるとは言えそれが最重要な要素では無いかと。では、経年変化か?となりますがこれは前オーナーの几帳面な処理から察すると関連性はあるのかもしれません。もしくは実はワンオフで作られた例外品ですべては全くの偶然、という可能性もあります。

 詰まる所、まだ良くわかりません。ちょっと美味い程度だと古い英国製と遜色ない良質なパイプです、という結論で終わるのですが、ここまで美味いといろいろと考えてしまう、、という訳です。一つ言えることは古いローランドは十分に狙ってコレクションするに値する、という事でしょうか。そこまで出てくる機会も無いかもしれませんが、"CENTURY OLD MEDITERRANEAN BRIAR ISRAEL"の刻印のローランドの手にする機会があるのであれば、一本遊びで買ってみるのも面白いと思います。

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コメント

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Re: タイトルなし

どうもどうも。
わざわざのコメントありがとうございます。

Lillehammerのグレード毎の味の違いですか、、
それは確かに気になりますねえ。

LillehammerもBASTIAというグレードの物が最近手に入りましたが、
これもなかなか美味いパイプです。
ただ、ちょっと味は薄いかな、、とは思いますが。
今手元にあるのがGLとこのBASTIAの2本だけなので、
詳しくはわかりませんが、この2本に関してはそこまでの吸い味の差は
無いように思えます。
何かの集まりでLillehammerの集いでもあれば何かわかるのかもしれませんが。

私はLillehammerとローランドというのは似ているところもあるな、
とも思うのです。
どちらも質実剛健な良いパイプです。
ただ、ローランドはLillehammerほどシェイプに個性が無い点は
大きな欠点だったようにも思えます。
しかしそのLillehammerは結果的にはダニッシュ系デザインの流行に乗って延命を図ろうと
クリスウィルを買収したのが倒産の一因になっていることは残念でなりません。

あと、これは個人的な意見に過ぎないのですが、、
ローランドはダニッシュ系の流れに乗らない方が良かったのではないか、
とも考えています。
目指すべきは群馬のダンヒルやカステロだったのでは、と。
この素晴らしいパイプを見てよりそう思います。

今でも膨大な数なクラシックシェイプの型が工場にはあるようですし、
恐らくは意外な名作があるのではないかと。
それをセミハンドメイド的な手法で生産出来れば、
かつてのチャラタンのような路線もあり得た、とも思うのですが、
世の中そう上手くもいかない、、のですかねえ。

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Re: タイトルなし

どうもどうも。
一度、カーボンを付けたまま吸ってみると、
その点でもっと深く検証可能だったのかもしれませんが・・・。
まあ、要はそこまで美味いパイプだとは考えてもみなかったという
ことになりますか。


生味系というと語弊があるかもしれませんが、
その系統の代表格は昔の、特に戦前のアメリカ製やフランス製の
パイプの印象が強いですね。

今でもたまに吸うパイプの中ではシャンクロゴのイエローボールが
これに該当するかと。
全盛期のイエローボールはアメリカン安パイプ界の王者と言って
差支えないとは思いますが、ただえらく雑味を感じる瞬間もあるなあ、
というのが私としての感想でして。
ですので、この系統のパイプだけを毎日吸いたいとは思えないのです。
あとは大昔のフランス製パイプ、ドクタープラムもこういう傾向があったように
記憶してます。
これはブライヤーの風味が強すぎるのではないかと考えているのですが、
まだ明確に理由はわかりません。

これはあくまでもヴァージニアやヴァージニア+ペリックの常喫者の感想
ですので、バルカン系の常喫者の意見だと大分異なる可能性は大です。
ただ、いずれにせよ吸い味のバランスのようなものが存在して、
そのバランスが各人の嗜好や気分によって相性が異なる、
というような事はあるのではないか、とは思いますけどね。


まあ、パイプによってそこまで吸い味が変わるという事自体に懐疑的な
方も結構いらっしゃるのではないか、とも自分は思っているのですが、
そういう方こそ、一度この手の極端な吸い味のパイプを試してみるのも
いい経験になるかと。


話はややズレますが、
かなり以前、今の関東パイプオフ会の前身?になるのかもしれない
オールドパイプオフ会というような集まりが盛んだった時期がありまして、
その会で一度、ある方が自慢の、
超絶に不味いパイプというモノを持ってきていました。
一見はただの古い米国製のパイプでしたが、
試喫させて頂くと筆舌に尽くしがたいマズさでした。
ただただ猛烈に辛くて苦い煙がブァーっと口の中に広がるのです。
尋常ではないクセがタバコの味を捻じ曲げているかのようでした。

この時にやはりブライヤーは単に難燃性の木材というだけではなく、
タバコの風味をかなり左右するケースも存在するのでは?
と改めて思いました。
そして、かつては美味いパイプに溢れていた、というのはある意味幻想で、
恐らくは数多の不味いパイプが存在した上で
そのマズさ故に実用品として残っていないだけなのかもしれない、
とも思いましたね。
カーボン神話はこういう状況だったからこそ、
発達したのかもしれない、と今は考えています。

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Re: タイトルなし

どうも。

確かに、そうまずいパイプに出会った事は無いので逆の定義という
ものはあまりしたことが無いですねえ、、そういえば。
焦げていてどうしようもない、というケースは数度ありましたが。
少ない経験から察するに、元よりマズいパイプは味がダメというよりも
変な臭いで吸いづらい印象があるような。
また、マズいとは別に味も香りもかなり飛ぶパイプというのも
たまにありますが、あれもどういう理屈でそうなるのか不思議なところです。

シリアンラタキアの不足は普段ラタキアを吸わない私も残念に思っています。
ただ、私としては無くなる事により、味が神格化される方も危惧したいところです。
私の感想としてはシリアンラタキアは優しく上品なタバコで、
むしろ常喫する為のタバコだったのでは?と考えているので。
しかし15年くらい前は日本でも1100円程度でバルカンソブラニー
のパウチが売っていた訳ですが、それが今や嘘のようです。

まあ、パイプもタバコも普段使いの物を落ち着けるのは意外と難しいですね。
まずは自分の好みの傾向を掴むのがコツかな、と思います。
それがわかってくると、大分落ち着くのですが、時には冒険も必要ですね。
思ってもいなかったものがピッタリ合う事もあるかもしれませんので。
とは言え、やみくもに買い漁っては後で後悔する事もありますので、
私としてはなんらかのテーマを決めて集めるとより楽しめるような気はします。

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Re: タイトルなし

どうもどうも。

バルカンソブラニーの幻影を追いかける、というのは不毛とわかっていながらも
やめられないですよねえ。
自分の中では旧白缶についてはある程度はわかったような気にはなっていますが、
所謂、黒缶こと759については全くわかりませんし、
シガレットの方もどういうものだったのか、興味はあります。

まあ、今の自分の中ではハイランダーやバルカンブルーで十分満足ですけどね。
GLPにも優れたブレンドが多数あるので、今のスモーカーは
この手のタバコを楽しむのが健全、と言えるのかもしれません。

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