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England's best pipe value

Gawith Hoggarth : Bulk Curly Cut

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今回は最近自分が良く吸うタバコについて書いてみます。常喫タバコはヴァージニア系のブレンドという点では以前と変わりないですが、最近は気温が上がってくるとやや軽めのタバコを吸う機会が多く、このタバコの出番が多いです。

個人的に今まで外れ無しだと思ったパイプタバコの形式は、スパンカットやコインカットといった類の製品です。私が始めてこの形式のタバコを吸ったのは旧マレイ製のスリーナンズでしたがこのタバコも実に美味しいタバコでした。この手のタバコをもう少し試してみよう、という事でGawith HoggarthのCurly Cutを試してみた訳です。

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最初お写真は開封時のもので、あまりスパンカットには見えないですが、崩れていない部分を集めるとこのようになります。マックバレン・ダークツイストに似た感じではありますが、固く茎が多かったダークツイストと比べるとこのタバコは柔らかく茎も目立ちません。中の方がやや暗い色のタバコを使用しているようですが、全体的には明るめの色の葉が目立つタバコです。小売店での説明にも
Manufactured by spinning tobacco leaves into a rope which is then made into a roll form, pressed, and finally sliced to produce round tobacco circles. Unlike the whole ropes, which use all dark leaf, this rope is spun using a Bright Virginia outer wrapper.
と書かれているので、ラッパーに使用しているブライトヴァージニアがこのブレンドの特徴なのでしょう。


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LUXURY BULLS EYE FLAKE(右)と比較してみるとこのようになります。
いわゆるスパンカットとは、要するにディスク状にカットされたタバコの事ですが、大まかに分けると荒く、ボソボソにカットされた製品とスパッと綺麗にカットされた製品の2種類があり ます。前者の典型的な例はマックバレン・ダークツイスト等で、後者の例としてはエスクード・ネービーカットやPeter Stokkebyeの LUXURY BULLS EYE FLAKEといった感じです。この例で言えば、Curly Cutは前者ということになります。

良く似たこの2つの形式ですが、実際にはほぼ別の製法のようです。簡単に言えば、綺麗なカットの方はシート状にプレスしたタバコを棒状にしてから圧縮後にスライスしたもので、荒い方はラッパーとなる葉を何枚か敷いた後、上に中に入れる葉を置いてから丸めて圧縮後にスライスしたもの、、といった感じになります。
丁度、Smokingpipes.comのSykes Wilford氏によるマックバレンの工場オーリックの工場を取材した映像がYouTubeに投稿されていますのでこれを見れば一目瞭然でしょう。
恐らくは前者が古い製法で、後者が新しい製法なのでしょうけど、これはあくまでも製法の違いでありどちらが優れているという訳ではないかと。ただ、スモーカーの好みは分かれそうではあります。

吸い味はかなり上品。クセがそこまで無い割には甘味はかなり出ますし、ほんのりと香る独特の石鹸臭さも良い風味です。この手の特殊なカットのタバコはクセもニコチンも強そうなイメージがありますが、このタバコは逆にかなりライトな印象があります。少なくともマックバレン・ダークツイストよりかは軽いのではないか、と。軽めのヴァージニアにありがちな傾向である辛さや雑味を感じる事もあるので、そういう点は好みが分かれそうです。

一番の特徴はかなり吸いやすいという点でしょう。スパンカット系のタバコはどう詰めたらよいのか考えがちですが、このタバコはかなりやわらかいので解さなくとも適当に丸めて突っ込めば普通に吸うことが出来ます。そもそも最初から解れてしまっている葉も多いです。

火のまわりも良好で、一度火種が安定すれば、そこまで再着火することはありません。底までおいしく、スムーズに吸えます。ただ、やや燃焼が早めで、この点に関しては個人的にはマイナスポイントです。マクレーランド製のヴァージニアフレークを詰めると2時間程度吸えるパイプに、このタバコを緩めに詰めた場合だとヘタをすれば1時間弱で完全に灰になるのでタバコの消費量は結構早いと思います。逆に言えばそれだけ常喫に向いた良いタバコと言えるのでしょう。

完璧ではないにせよ極めて良質なタバコで、個人的には初心者からベテランにまでおすすめ出来る素晴らしいタバコだと思います。しかし、注目度はそれほど高くはないですね。この記事が投稿された時点でのtobaccoreviews.comのGH社の製品のレビュー数は一番多いBob's Chocolate Flakeの178(AVG 2.9)に対してCurly Cutは22(AVG 3.0)で28位。評価としては可も不可もない地味な数値と言わざる負えないです。

これは何か凄そうなタバコに見えても実は意外と簡単に吸えてしまうという点が、逆にマニアックなバルクの1銘柄に留まっている理由なのかもしれません。無造作に詰めて吸う軽いタバコとしては少し高級過ぎますし、かといってじっくりと構えて吸うような重厚さはありません。要するに他のブレンドと比べるとインパクトには欠けるのです。

私としては常喫用タバコとして満足のいく選択でした。GH社の製品は良くも悪くもクセが強いヘビーな製品ばかり注目されがちな気がしますが、こういう何時でも吸えるスタンダードな製品もなかなか面白いのではないでしょうか。
どうにもヴァージニア系のタバコ(というか非着香タバコ全体に言えることなのかもしれませんが)はパイプタバコに慣れてくるにつれて重くヘビーであることが良しとされてきた傾向があるようですが、個人的にはこのような軽いながらもしっかと味がある製品ももう少し注目されても良いのではないか、と思います。


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コメント

お久しぶりの記事でしたね。
最近はパイプは喫うよりも、鉋や小刀を使ってのタンパーの自主製作にハマっています。まだ未挑戦ですがパイプのワックスに日本の拭き漆がよさそうです。
実際やられた方のパイプを見ましたが、自分の古いコモイのポットによく似た色合いでした。


日本人恐るべし・・・。

Re: タイトルなし

どうも、お久しぶりです。
中々、更新が進みませんがネタが無くなった訳ではなく、
むしろどうまとめようかとあれこれ考えているうちに、
時間が無くなっていった、、という感じですかね、近頃は。

漆仕上げは以前何度か拝見しましたが、濃いめのステインのパイプには
丁度よく馴染んでいた記憶があります。
確かに、あの独特なツヤはいいものです。

自分がやったことのあるワックスの仕上げではクルミの油による方法が
なかなか面白いですね。
胡桃が田舎の直売所に出回るシーズンに買ってきて、
中身を出して布に包んで絞れば油が出てくるのでそれでひたすら拭く、
これだけです。
特に殻がものすごく硬いオニグルミの中身が油分が多くて
なかなかいい具合にいきますし、価格も安いでしょう。
ただ、そこまで強い皮膜ではないので、
仕上げというよりも、あくまでもツヤだし程度のものでしょうね。
まあ、おつまみとして食べる際にあぶれたカスをこすり付けただけでも
結構ツヤは出ますし、ナッツの香りがほんのりとするので、
お遊びとしてはなかなか面白いのではないでしょうか。

僕が見た拭き漆はなんの漆だったか判りませんがたぶんそう珍しい物でもないと思います。きっとラッカーほどツヤツヤでなくほどよくこなれた(云ってみればエイジングでしょうか)感じが良かったのと、パイプに拭き漆の組み合わせが意外で驚きました。
よく行く三軒茶屋の道具やの常連さんにブライヤーのプラトーに至らないくらいの小さい塊を頂いたので、今度はそれでタンパー製作してみようかと思っています。

Re: タイトルなし

漆となると、漆器か蒔絵か和竿かといったところでしょうか。
そういえば和竿製作用の漆が結構いい感じに仕上がるというような
事をどこかで聞いたような気もします。
和竿用の材料を扱ったお店だと根竹を扱っているところもあるようですので
意外とパイプやタンパーの製作との関連性もあるのかもしれません。

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Re: リンク切れについて

> はじめまして。以前からパイプ喫煙の教科書として古い記事を含め繰り返し拝見しています。ありがとうございます。
> ところで、リンク先には既になくなっているサイトもありますが、
> Heritage Bruyere をクリックするといかにも危なそうなフィッシング画面に飛ばされるようです。
> 私のようにこのブログをご覧になる方は多いと思うので、お手数ですがリンクを切るか削除するかの対処をお願いできないでしょうか。
> いきなり無遠慮な物言いとなりました。お気に触られたと思いますがご容赦ください。

真に申し訳ございません。
今さらながら気が付きました。
思えば、数年前にかなり適当に作ったブログなので、
今となっては雑な部分が大変多く、反省しています。
今後は更新を兼ねて、いろいろな部分に手を加えたいところです。

実際のところ、ネタが切れた訳では無かったのですが、
どうにも更新が滞っているので、
そこを含めて改善していきたいところです。
では。

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