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England's best pipe value

Dunhill : ROOT #53 (PAT №417574/34)

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このブログにしては珍しくなんの変哲の無いベントパイプ、、今回はこのパイプをネタに一つ書いてみます。最近はパイプの数がそれなりに揃ってきたので、よほど欲しいモノか、衝動買いかのどちらかという事が多いですが、これは完全に予定外の衝動買いでした。

 パイプの最も基本的な形と言えばビリヤードとベント、というのが一般的な見解だとは思うのですが、私としてはパイプに慣れるにつれてベント、、具体的に言えば角度が45度程度かそれ以上にシャンクが曲がったベントビリヤードやベントアップルが言われるほどポピュラーなシェイプなのだろうか?と疑問に思えてきました。
と言うのは、いつもベントのみを愛用しているベテランスモーカーと言う方も少ないようですし、ベントだけを何十本とコレクションしている方にもお会いしたことはありません。かつての著名人の写真でも、プライベートでベントを銜えている方は少数派のような気がしてなりませんし。また、ベントを看板シェイプにしたパイプメーカーも今の今に至るまで無いように思えます。

 何故そうなのかは様々な理由が考えられます。まず煙道の加工が非常に難しいという構造的な難点があります。工作精度が低い物であれば、まともにモールが通る事の方が珍しいです。また、バリエーションに乏しいのも理由の一つでしょう。大きさの違いこそあれ、大抵のメーカーはほぼ似たような形になります。加工が難しい割には地味というのはハンドメイドの世界でも避けらがちのようで、有名作家が作った典型的なビリヤードは数多くあれど、典型的なベントというものにお目にかかったことは無いような。そういう訳で私の所有品の中でも典型的なベントパイプは数本しかありませんし、普段使いのパイプのローテーションに入ることもありませんでした。今後は余程のことが無い限りはベントを手にすることはないのかもしれない、、と思っていたのですが、最近ひょんとなことでこのRoot #53が手に入りました。

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 さて、様々なメーカーやパイプ作家のクラシックシェイプに多大な影響を与えたと思われるダンヒルのシェイプ群ですが、やはりベントでもその影響力が大きかったのではと思います。ただ、流石にベントとなるとバリエーションを作り出すのが難しいのか、基本的には数種類しかありません。旧規格の主なシェイプは#53、#54、#56、#120、LC、といったところでしょうが、#120とLCはebayでも高値安定のレアかつ人気シェイプなので、有名ではあっても玉数は少ないでしょう。となると、ダンヒルで最もポピュラーだったベントは#54、と一回り小さい#53といったところになるだろうと思います。
このROOTの#53もシェイプとしては地味そのものです。一見はごく普通のパイプなのですが、なんと言いますか非常に良い雰囲気です。ある意味、無駄の無い完成されたシェイプということなのかもしれません。

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 刻印はこの通り。417574/34のパテントナンバーにアンダーライン付の0のデートコード。グループナンバーは無いように見えます。1950年製か1951年製のどちらかだと思います。

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 テノン側の穴は円錐状に穴が開いていますが、これはインナーチューブの挿入を考慮しなくてはならないので、ボウル側の煙道でつっかからないように極度にテーパーをつける構造になった、との事。こういった仕事の細かさは流石といったところです。これはインナーチューブを使わない場合でも煙がスムーズになる効果もあるようですが、あくまでもそれは副産物的なものでしょう。

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 ベントの腕の見せ所となるのがシャンク側の煙道加工でしょう。大抵の場合、シャンクに対して並行ではなく斜めに煙道を空けなければならないのですが、ドリルの刃がダボ穴の縁に当たることが多いです。右の写真はSunrise製ベントアップルで穴の下部がドリルで削れています。このパイプはまだまだ良い方でして、有名メーカーのパイプでも大きく欠けてしまっていることは珍しいことではありません。さらに、シェイプに合わせて無理に斜めに煙道を空けるということになると、ボウルの底に煙道を貫通させることは難しく、モノによってはかなり中間煙道になりますし、ステム側の煙道にスムーズに繋げることもかなり困難で、大抵はクリーナはつっかかり煙は暴れます。これはもう構造上の欠陥としか言いようがありません。実は今までベントがあまり好きではなかった大きな理由がこの不具合なのです。
 その点、このパイプは縁に欠けが無く、かなり慎重に開けられているようです。流石にボウルの底にピタリと煙道があいている訳ではありませんが許容範囲にまとまってはいますし、クリーナーもダボ穴で突っかかる事もなく簡単に通ります。そもそも、インナーチューブが装着可能に設計されている以上、このぐらいの工作精度は必須だったのでしょうけど、これはかなり難しい加工でしょう。見た目はごく普通でも中身は普通ではなく、とんでもなく手間が掛かっています。

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 ただ、このパイプはよくわからないパーツが装着されており、写真では見えませんがシャンク側の煙道にはアルミチューブがガッチリと埋まっています。オリジナルのパーツではないとは思いますが、改造にしてはパーツがきっちりと合っているのが面白いところです。どうも前のオーナーはこの状態で使用していたようですが、私は外して使っています。現段階ではアルミチューブが除去不能なのでひょっとしたら使い物にならないハズレを引いてしまったのかもしれない、と不安になりましたが、なんということもなく普通に使えました。
リップはいつもの感じで、いかにもダンヒルといった造りです。絶妙の柔らかさは流石ですね。

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 個人的にはRootの仕上げは地味でつまらないな、と思っていました。木目が派手なDRであればわかりますが、大抵地味な木目のボウルに薄いステインでは面白味が無いのではないかというのが理由です。ただ、実際にこうやって使い込まれた実物を手にしてみるとこれはこれで良い色かと。独特の風格があるように見えます。

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 使い込まれているだけに、ボウルトップもボウル内もかなりヤレていますが、焦げも無く、実用上は問題ありません。その分お手頃価格で手に入れているので、これは実用品として割り切るしかないでしょう。ただ、径が18㎜程のややテーパー気味のチャンバーですので容量は少なく、タバコはやや選ぶ傾向になるのかもしれません。

 吸い味に関してはかなり不安でしたが、いざ吸ってみると一安心といったところ。普通に吸えるどころか、「おおっ!」と思わず言ってしまうぐらいに、かなり上等な吸い味です。Rootはコルシカ産のブライヤーとの事で、アルジェリア産ブライヤーのShellとは吸い味は違うのだろうとは思っていましたが、確かにシェル独特の妙な匂いはしません。ですが、かなりこってりとした甘味が出ていますし、ボウルから立ち上がる煙も非常に心地よいものです。
やや小さめのチャンバーというのも、ヴァージニアを中心に吸っている自分には合っているようです。特にフレークを吸うのに適しているようで、マクレーランドの#2015で試した時が一番調子が良かったように感じました。

 まあ、今回の経験でベントでも文句なしに良いパイプが存在する、ということが自分にも理解出来ました。しかし、このクラスのベントが今後自分のコレクションに2、3本増える事があるのだろうか?となるとそうとは思えない、、というのも正直な気持ちです。というのも、このパイプと同等かそれ以上のモノとなると玉数的にも予算的にも厳しいですし、私自身がこの1本でかなり満足してしまってるので大枚を叩くという状況も考えづらいからです。ただ、この一本でベントというシェイプ自体にはかなり愛着が湧きました。やはり、こういう定番シェイプは一本はちゃんとしたモノを用意しておくべきなのかもしれません。

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