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England's best pipe value

Ferndown : BARK **

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だんだんとヴァージニアが美味しい季節になってきました。そんな今日この頃、良く使っているのが、このFerndownのスクワットブルです。

パイプと言えば英国製、、かつてはそんな時期もあったようですが、今では遠い昔。英国のパイプ産業自体は無くなった訳ではありませんが規模としては激減と言えるでしょう。大メーカーとしては実質的にはダンヒルとその傘下(パーカー、ハードキャッスル、チャラタン)とCadogan Investment Ltd.(BBB、コモイ、サシエニ、etc)のほぼ2つの勢力しかありません。とは言えカドガングループもかなり縮小したようで、その中で日本ではちょっと探して普通に買えるものとなればダンヒルぐらしか無く、あとはたまに入荷するパイプがあるという程度でしょう。そもそも米国でも英国でもそこまで取り扱いは多くないようですし、、まあ、これは供給が少なく、そもそも需要も少ない、、という事なのでしょうか。

そのダンヒルとておいそれと買えるような価格ではありません。普通の会社員がボーナス叩いてやっと買える時代に比べると相対的に安くはなったのかもしれませんが、グループ3のシェルで5万円台というのは流石にちょっと・・・。今、5万円でパイプ買うとなるとそこそこのハンドメイドが大抵買えますし、一部の海外作家であれば特注して作ってもらえる価格帯です。さらにグループ5以上のサイズともなれば北米やデンマークのハイグレードなハンドメイドと同じ価格帯。確かにそれ故のステータスとは言え、これではちょっと難しいですね。

さて、没落した英国の自動車業界に良く似た状況の英国パイプ業界ですが、バックヤードビルダー的な小規模工房が比較的元気なのも似ています。まずはその筆頭と言えるAshton。ダンヒルの失われたテクノロジーであるオイルキュアリングを引き継いだ、ある意味伝説の工房ですね。本人は既に他界してしまいましたが、今はJimmy Craig氏に引き継がれ、未だに米国では定番のパイプでしょう。価格的にも低価格のものであればダンヒルの半値ほどというのも広く受け入れられた理由でしょうか。そしてもう一つの定番英国パイプが同じ元ダンヒルのFerndownです。

ファーンダウンは、1983年にダンヒル社から独立したLeslie "Les" John Wood氏が奥さんと共に創業したL. & J.S.社のパイプ。
主な特徴としては
・ モロッコ産、もしくはギリシャ産のプラトーを使用
・ オイルキュアリング
・ ほとんどの製品がラスティック
・ シルバーリング付きの製品が多い
・ サイズは大きめ
と言ったところでしょうか。ダンヒル時代は銀加工の責任者だった事もあってか、シルバーリングの技術に関しては定評があるようで、他のメーカーの製品でもレス・ウッド氏が加工をすることがあるそうです。

価格は下は180ドルくらいから上は500ドルぐらいまでで、廉価なグレードであれば円高の現在ではお買い得品と言えます。どのくらいの価格までが廉価品なのか人によって基準は分かれますが、150ドル以上200ドル以下のカテゴリーで何か選ぶ際には、このFerndownは有力候補と言えるのではないでしょうか。主な入荷先はpipes2smoke.comと英国のJames Barberのようですが、日本国内でも京該さんにたまに入荷するようです。

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シェイプはいかにも英国と言った感じのスクワットブル。恐らくは昔のDunhill ODA838のコピーかと。今やカタログシェイプではほとんど見かけることはなくなったスクワットブルですが、レス・ウッド氏の得意シェイプなのか、Ferndownでは比較的よく見かける気がします。
至るところがシャープに作られていて、全体的にスマートな印象です。ちなみにサイズは**との事ですが、それでもかなりの大きさ。右の写真はDunhill Oとの比較ですが、この通りかなり大きさに差があります。チャンバー径はそこまで大きいものではありませんが、ボウルの外形はかなりのものです。そのせいか重量がかなりあります。

ちなみに、このパイプは八王子で開かれたパイプフェスタで購入したもの。今や日本で一番品揃えの良いパイプ店になりつつある京該さんの出品物で、アシュトンと悩んだ結果、工作精度に難の無いこちらを選びました。中古品とは言えかなりのバーゲン価格でしたので、これには京該さんと前のオーナーさんには感謝したいところですね。何か至らぬ点があって手放したのかもしれませんが、自分のところでは十分に楽しませてもらっています。

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刻印はこの通りステム周りの造りはかなり良いで、とてもかっちりしています。シルバーバンドは流石に本職だけに素晴らしいものです。

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ステムは基本的には昔のダンヒルに準じた設計のようですが、リップが上下に斜めになっている点など、細かい仕事がいいですね。ヘタなダンヒルよりもいいぐらいです。ただ、材質がアクリルなのでそこで好みが分かれるかとは思います。アクリル故に歯で表面にキズが付いてしまうのは難点です。銜え心地は悪くはありませんが、流石にちょっと重いですね。ガッチリとホールドは出来ますが。

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ラスティックは細かく、シャープな感じです。触った感じも硬いです。

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パイプには人それぞれ、好みの見る角度というものがあると思うのですが、私の好きな角度は後ろからの視点。特にこのスクワットブルというシェイプは後ろから見るのが格好が良いように思います。

吸い心地も吸い味もなかなかいいです。元々、調子の良いパイプでしたが、使い込む毎により美味くなっている気がします。結構甘い味で、特にヴァージニアフレークの味が良く出ます。吸い易さという点でも文句なし。簡単に葉が底まで吸い切る事が出来ます。ただ、オイルキュアリング独自の吸い味なのか?と言う点はよくわかりません。少なくとも60年代以前のダンヒルに感じる特有の臭さは無いかと。贅沢を言えば、もう少し濃い味が欲しかったところでしょうか。とは言え、これはこれで十分に評価出来る吸い味にはなっているかと。

総評としては十分に満足出来るパイプかと思います。満点では無いにせよ、高評価には違いありません。残念な点としては、ステムがアクリル製が多い、サイズが少し大きすぎる(重過ぎる)、サンドブラストのグレードが無い、この3点でしょう。この点さえ追加されればより人気が出てもいいんじゃないかとも思うのですが、これはこういうものなんです、という事なんでしょうか。「英国製のパイプに興味はあるがダンヒルは高すぎて買えない」というのは多くのスモーカーが薄々感じていることだとは思いますが、その需要に上手く応えたパイプと言えそうです。

どこでも在庫が豊富にある訳ではないので、シェイプとサイズの好みにうまく合致するものはなかなか見つからないとは思いますが、気に入ったモノが出てきたら、一本試してみるのも悪くはないでしょう。
いずれにせよ、英国製のパイプで無難でカッコいいパイプが欲しい方にはお勧め出来ます。
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