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England's best pipe value

Dunhill Cumberland 3206

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なんだかんだで気になるダンヒルのパイプ。個人的には80年代の派手なダンヒルも気にはなっていました。これはたまたま手に入ったその時代のパイプです。

 最高のパイプと言えばダンヒル・・・この意見には肯定的な人もいれば否定的な人もいるかとは思います。実は私自身も数本手に入れて使ってみるまではあまりいいイメージはありませんでした。なんというか成金オヤジ風な感じもしましたし。何故こんなに人気があるのか疑問の方も多いのかもしれませんね。

 ただ、冷静になって考えてみると人気があった理由もわからなくもありません。私なりの見解としては、簡単に言ってしまえば選択肢が他になかった、、これに尽きるのではないかと考えています。まず実用品としての高級品を買うのであればその品質が安定しているのが保証されていない限りは意味がありません。出来が良いのも多いけど、どうにもイマイチな物もある、、見た目の格好は良いが使い辛い、、というようなことではいけません。次に在庫がある程度揃っていて、予算さえ用意出来れば買える体制も必要です。もちろん、それには輸入代理店がコロコロ変わるというような事ではダメです。無論、その在庫を確保する高級店も必要でしょう。大枚叩くのであれば店に行って、手にとって納得して買えなければいけませんし。さらに飽きの来ないスタンダードなシェイプが揃っていなければいけないでしょう。あと、高級品を売るのにある意味一番重要なのは決して価格は下げないという点。良くも悪くもブランドイメージの維持には欠かせません。

 そうなると、高級男性誌を購読するような凝り性な方の選択肢はかなり限られます。なんでも一流品でなければ納得が出来ない、もしくは男の一流品的なものが欲しいという層にとっては、もう判りやすさで言えばダンヒルしか選択肢に入らなかったのも無理がありません。厳密に言えば他にも選択肢が無い訳ではないのですが、いろいろと考える必要が出てくるので、多くのパイプスモーカーには何時の時代も一定以上の品質と高価格を保ち、在庫も豊富だったダンヒルが一番判りやすいパイプだったのでは、と。腕時計、万年筆、ライター、、といった昔の男の必須アイテム的なカテゴリーでパイプを語る際にはうってつけのメーカーだったのかもしれません。

 さて、そのアルフレッドダンヒルですが、流石に経営にブレが無かった訳ではないようで、1967年にCarreras Ltd.によって買収されました。結果的には経営側にダンヒル家の人間が残った為、家族経営時代の終焉とまでは行かないようですが、完全な同族経営の終焉はこの時期と見てもいいような気はします。そういう訳でかなり大雑把に総括すれば67年以前をPre-Transition era、1968年からシェイプナンバーが改変される1976年までをTransition era、1977年から1992年に至るまでの製品をPost-Transition eraと言えるのかもしれませんが、短期間の間に急激に品質が低下したバーリングと違ってダンヒルは今の今に至るまで高級パイプメーカーには違いないので、こればかりは一概にどうとも言えませんね。1992年からはスイスのリシュモングループの傘下となり、1996年からはロゴも俗に言うマルダンになりました。そして近い将来、ダンヒルパイプからダンヒルのロゴが消えるという本末転倒な事態になるらしいので、もうこれはダンヒルパイプの役割の終焉という事なのかもしれません。

 ちなみに、ビンテージパイプのコミュニティでは必然的に67年以前のダンヒルが話題の中心となります。それ以降の製品のユーザーには面白く無い話かもしれませんが、現状としてはそうです。それはシェイプ、ブラスト、品質、吸い味、、等いろいろと理由はあるのですが、中古品だけに市場価格も大きな要因の一つです。今のところ、中古のダンヒルはどの年代でも価格が高めという点では共通しています。確かに、パテント期の良品がとんでもない高価格で取引されることもあります。しかし、だからといって70年代、80年代のダンヒルが格段に安くなるか?といえばノーです。むしろ80年代のピカピカのチェスナット等のグレードは安定した高価格ですし、60年代の枯れた感じのシェルの方が安く売られる事はあまり珍しい事ではありません。要するに明らかにオイルキュアリング廃止されたであろう年代の品をあえて買う、という冒険をするぐらいならば少し高くとも堅実な全盛期の品を買う、というのはストイックに実用品を漁るスモーカーにとってはある意味当然の事なのです。

 ただ、個人的には68年以降の製品、、特に77年以降のダンヒルがどのようなものであったのかは非常に興味はありました。実際のところどうなのかと疑問に思っている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。それを確かめるには自分で入手してしばらく使ってみないことには判りません。そう思っていたところたまたま数本のダンヒルが手に入りました。これはそのうちの一本です。

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 Cumberlandは1980年頃から生産されているグレードです。少し明るめのブラウン色のサンドブラスト仕上げで、ステムにはまだら模様のエボナイトが用いられているのが特徴。カンバーランドだからカンバーランドというよりもむしろ逆という説もありますね。そもそもこの手のステムはBrindle StemやらBowlingball Stemといった呼称が一般的だったようですが、このグレードが量産されて以来カンバーランドという地名が俗称になった、との事。ことの真相はわかりませんが、色付きエボナイトがあまり一般的ではなかったせいか、それなりのインパクトはあったのかもしれません。

 シェイプはスタンダードなサドルステムのポット。シェイプナンバーが6の今でも見かけるシェイプです。ボウルサイズはグループ3との事で、標準サイズか少し小ぶりか、と言ったところです。見た目はかなりいいですね。見るからに抜かりなくつくられた感があります。

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 製作年は89年でしょうか。ウィリアム・アシュトン・テイラーやレスリー・ジョン・ウッドといった職人がダンヒルの工房から独立して数年後の作ということになりますね。

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 ステム周りの造りも文句無しと言って良いのではないでしょうか。ちょっと硬めではありますが、造型も薄さも銜え心地も最高です。カンバーランドの色ツヤもピカピカでかなり良い材料で作られた感があります。

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 ブラストも浅いながらも良い出来。昔のタンシェルよりも派手な印象です。触った感じは硬く、感じとしては現在の北米ハンドメイドのブラストに近いものがあります。ただ、リンググレインの出方は今ひとつでそのあたりは少し寂しい感じもします。もう少し木目の良いブライヤーであればもっと見栄えがしたのでしょうけど。

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 さてここまで褒めちぎった訳ですが、吸い心地と吸い味の方はどうかとなりますと、現状では手放しに褒められない、、というのが正直ところ。
 決して悪くはありません。エアフローも良いですし、底まで簡単に灰に出来ます。手で持った際の硬いブラストの感触も心地よいものです。ただ・・なんといいますか肝心の味はかなり薄いですね。雑味は感じませんが、同時に甘味も感じられないといいますか。火を着けて数分は「おっ、これはなかなかいいんじゃないか?」と思わせるものがあるのですが、ヴァージニアでもラタキアでも半分ぐらいに達する頃には、すごく印象の無い味わいになりがちです。どうにも昔の製品にあったような、いかにもダンヒルといった風味は全くと言っていいほど無いような気がしてなりません。これがこの一本だけなのか、この年代のカンバーランドがほぼこのような感じなのかは判りませんが。現時点の吸い味であれば、目隠しテストをしてもこれがダンヒルなのか当てる自身はありませんね。これがオイルキュアリングの有無による差という事なのでしょうか。

 極端な例えをすればラーメンのスープが違うぐらいに吸い味に差があるような気がしてなりません。オイルキュアリング時代のShellがこってりしたトンコツスープだとしたら、このカンバーランドはあっさりとした塩味といった感じでしょうか。残念なのは惜しいところでひと味欠けている点なのですが。これは良く言えば上品になったということなのでしょうけど、ダンヒルが元々持っていた個性を失った、という感はありますね。

 外装の造りや扱いやすさに関しては文句の付け所は無く、高級パイプとしての威厳は十分に保たれていたとは言えます。ですが、吸い味に関しては面白みに欠けるような・・・。まあ、これはあくまでも昔のダンヒルと比較した場合、での話になりますが。
今のところは今後の経過を見ているところです。何年も使い続けているウチに強烈な甘味を叩き出すパイプに変化する可能性もあるにはあります。ただ、自分の使い方での現状としてはこれが限界ですし、20年以上も前に生産されたパイプの中古品故に使い込む事による伸びしろも大分限られるかと。この一本でこの時代のダンヒル全てを判断する事は出来ませんが、このパイプに関してはこのような感想になりました。

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コメント

さすがだね。
最近ご無沙汰でどうしてるだろう?と思ってましたが、コツコツと確実に極められてるって感じですね。

ガン放置で広告出っ放しのどこかのblogとは大違いですな(笑)>wsb

僕もサイト更新しなきゃなあ。

「良く言えば上品」、言い得て妙ですね。うちにも3015が一本ありますが、Dunhillであることを忘れれば悪くない、といった所です^^;

どうも、みなさん。
こちらも更新が凄く遅くなりがちですがなんとかやってます。
まあ、書きたい事はまだまだあるのですが、
なかなかまとまらなくて。

このダンヒルは外観の出来としては出来のいいパイプなんですけどねえ。
やはり吸い味に関しては面白みに欠けます。
現在売られている北米やイタリアのハンドメイドの方が
遥かにパンチの効いた味がするような気がしてなりません。
これはこういうもの・・・なのかもしれませんが。
手持ちのパイプ本数が多くなると、比較対象が多くなるので、
評価としては厳しいものになってしまいました。
ただ、この時期の製品はむしろ品質的にはかなり良くなってきた頃のようなのですが。

ダンヒルパイプの年代…130/FT

ダンヒルパイプタバコの年代を知りたい。

Re: ダンヒルパイプの年代…130/FT

> ダンヒルパイプタバコの年代を知りたい。
どうもどうも

シェイプナンバーの130/FTだけの情報では流石に良くはわかりませんが、
グループ①のスマートなダブリンになるのでしょうか。
個人的な印象になってしまいますが、
グループ①の小さなパイプは60年代の出物が多い気がしますね。
しかし、人気が無かったのかグループ①の球数は少ない気もします。
私としては結構使用頻度の高い大きさなのですが。

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