Dunhill Shell : #104 F/T


遊び程度の入札で落札できることもオークションでは稀にあるのですが、このパイプもそんな1本。同時刻に他に良いパイプの落札時間が迫っている上にそれほど状態が良くないパイプにその傾向があるような気がします。まあ、腐ってもダンヒルとなるかどうかは届くまではわからないのですが。

シェイプはオーバルシャンクのビリヤード。ありそうでなかなか無いシェイプですね。いかにもビリヤードが得意なダンヒルならではと言ったところ。グループ4といってもサイズにはバラツキはありますが、このぐらいのサイズが自分には丁度いいです。

刻印はいつもの通り。1963年製でしょうか。


細部の造りは流石にダンヒルといったところで、文句無しといったところでしょう。ステムの造りは厚過ぎず薄過ぎずで丁度良いです。ダンヒルはちょっと柔らかい感じのヴァルカナイトを使用しているようですが、この材質はちょっと他にありませんね。残念ながらアルミチューブはガッチリと固着していたので、ペンチで捻り潰しながら取りました。使う事は無いとは言え、ちょっと勿体無い気分になってしまいます。


ブラストはそれほど面白いものではないですが、一応はシェルらしさが出ています。このブラストの地味さは大方の60年代のシェルに共通する欠点だと思います。これは個人の好みによりきの問題であって、機能的には全然意味は無いのですが。他のブランドに比べればこれでも十分に深いブラストですし。

ボウルトップは前の縁が焦げ落ちています。これが安値の理由でしょう。ブラストパイプだからまだマシな感じではありますが、ちょっと目立ちますね。
状態が悪いだけにチャンバー内が焦げていないかとか、お香っぽい臭いがしないかというような不安はあったのですが、その点は大丈夫でした。ただ、吸い味は今の段階では結構普通なものです。シェルの味には違い無くそれなりに味は良いのですが、手持ちの他のシェルに比べると幾分か風味が落ちるというか・・・。まあ今後、劇的に変化する可能性もありえますので、もう少し吸ってみて再レストア後あたりに結論は出したいところですが。個人的にはダンヒルとなるとどうしても評価が厳しくなります。なんというか、シェルは美味くて当然という感覚になってしまうと言うか。他の中級グレードのパイプでは許される欠点もダンヒルでは許せなくなるような感があるような気もしてきます。
と言う訳で、ボロくてもダンヒル・シェルの吸い心地はそれなりにではありますが楽しめました。安値で購入出来ただけに満足ではあります。ただ、これが傷無しの美品で150ドルくらいの価格だと吸い味に不満という感想になったかもしれません。やはり60年代以前のダンヒルでも全てがアタリなのでなく、多少のハズレもあるのかもしれません。贅沢な話ではありますけどね。

手持ちのシェルを並べてみました。因みに好みの味は上から順番に67年製O、65年製#114、57年製#60、そして今回の63年製#104。これはシェイプもボウルサイズも状態も大きく違うし、プラセボも大きく影響しているのは事実だとは思いますが、それでも5年単位ぐらいでの味の差はあるんじゃないか、と。これに関してはシェイプを統一した上で吸い比べないと詳細にはわかりませんが。いずれは30年代と50年代初頭の製品も試してみたいものです。


以前紹介したパーカーとの比較。製作年代は少なくとも8年以上の差はありますが、見ての通りほぼ同じシェイプでしょう。やはり、このパーカーは#104のセカンドグレードとして製作された可能性が高いと思います。

ちなみに、ボウルトップに同じような焦げ後がありますがそれもそのはず、この2本は同じセラーさんから購入したもので恐らくは前のオーナーは同じ方です。かなり着火に無頓着な方だったんでしょう。まあ、チャンバー内まで焦げてなかったのは幸いですが。
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://sqbull.blog120.fc2.com/tb.php/111-0bbdb2fc