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England's best pipe value

GL Pease : Fillmore

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 何かいまさら感もありますが、今回はGL Peaseの代表的なヴァージニアをレビューしてみます。この選択になったのは言うまでもなく、あの問題故です。

 マクレーランド廃業・・・このニュースは吸っているタバコの半分以上がマクレーランドだった自分にはとてもショックなニュースでした。最初にこのニュースを聞いた時は半年もすれば落ち着くかもしれない、と楽観視していたのですが、その楽観が絶望に変わるとはなんとも・・・。まあ、こうなった以上他の銘柄を試すしかない、という事でいろいろと検討中です。これはこれで楽しんでいけるのかもしれませんが。

 さて、かなり昔に常喫用のヴァージニアブレンド、特にヴァージニアフレークを選ぶ際に、製造元で大体いくつかの系統に分かれているのではないか、という感じで解釈しました。大まかに説明すれば、
・Samuel Gawith/Gawith Hoggarthのレイクランド産(やや干し草臭い)
・オーリック/マックバレンのデンマーク製(吸い易いが辛味も出やすい)
・Kohlhase, Kopp und Co. KG製(やや石鹸臭がする)
・ジャーマイン製(独特な異臭)
・マクレーランド製(ビネガー臭い)
まあ、大体がこのような感じだったかと記憶しています。その中で自分の好みだったのがマクレーランドとジャーマインだったという訳なのですが、マクレーランドは廃業でジャーマインは入手困難、、全くをもって困った事態です。そしてこの知識も様々なメーカーが変化してきた今は認識を改める必要があるのかもしれません。

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 さて今回のタバコ、GL PeaseのFillmoreはこの時あまり試さなかったヴァージニアブレンドを味わってみようか、と思い購入してみました。
 GL Peaseがヴァージニアタバコのシリーズを展開していたのはかなり前から知ってはいましたが、恥ずかしながらあまり試す機会はありませんでした。理由は簡単でオリエント/ラタキア以外のGL Peaseにあまり期待していなかったというのと、他に吸うタバコがいくらでもあったからです。またはGL Peaseの代表作Barbary Coastがその時の自分には合わなかったというのも理由でしょうか。しかし、こういう事態になった以上、今こそ試す時ではないか、と思った訳です。

 FillmoreはFog City Selectionというヴァージニアを中心としたシリーズの一品。といってもそこはGL Peaseらしくペリックだけではなく、ケンタッキーやオリエンタル、ラタキアいったタバコがブレンドされた銘柄もあります。このFillmoreを選定した理由は単純でフレークであることとレッドヴァージニアがメインであること、ただそれだけに尽きます。要するにマクレーランドのレッドヴァージニア系の代替品になりえるか?という訳です。

 ウェブサイトの説明は
A thick-sliced broken flake in the Scottish tradition. Ripe red Virginia tobaccos are combined with a generous measure of fine Louisiana perique, and then pressed to marry the components and deepen the flavors. The cakes are sliced and gently broken before tinning. Fillmore presents an elegant sweetness and delightful piquancy, enhanced by a creamy richness that develops throughout the bowl. Sit back, and enjoy a lovely, leisurely smoke.

との事。
まあ要するにレッドヴァージニアとルイアジアナペリックのVAPERのブロークンフレーク、という事になるのでしょうけど、ここはScottish traditionとは何ぞや、という点がわかり辛くなりそうではあります。しかし、ちゃんとその問に対して答えが用意してあるのがグレッグ・ピース氏らしく、
・English(ラタキアが支配的)
・Scottish(熟成されたヴァージニアが支配的)
という解釈のようです。実は私としてはしっくりこないのですが、要はいつものヴァージニア系のブレンドの別名という解釈なのでしょうか。これはひょっとしたら初めて今の形のVAやVAPERのフレークを発売したらしい?ラットレーの製品群の事を指してスコティッシュと呼称したのが残ったのかもしれません。

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 缶を開けるとこのような感じに入っています。包装がかなり丁寧なのが好印象ですね。上も周りも紙で包まれており、長期間の熟成も考慮にいれているのかもしれません。臭いはマクレーランドとは違うドライフルーツのような漬物臭。これはペリックとヴァージニアの混合臭が漂っているのだと思います。

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 葉はこのような状態で入っています。湿度はそこそこ高めですね。C&D製なのかどうかは分からないですが、もしそうだとすると他のC&D製タバコにありがちな若干乾き気味のタバコではありません。この湿度故か解す際も簡単にバラバラになります。つまりこのタバコはフレークは解さない派には不向きでしょう。

 吸ってみた感じは・・・これは確かに上品で美味いタバコですね。説明通りエレガントでクリーミーなのかはちょっとわかりませんが、非常に香り高いのは事実でしょう。良い点はそこまで繊細過ぎない上品さ、という点でしょうか。雑味の無い上品なタバコというのは、場合によってはピーキー過ぎて吸いづらい事もありますが、このぐらいの調整であればそれほど気を使わないでしょう。そして、C&D製のバルクタバコ等にありがちな変に辛くなる現象も少ないです。全く無いとは言いませんが、かなり抑えられています。燃焼速度も低めで調子の良いパイプを使えば、それなりに長時間喫煙が出来るのも利点で、それでいて飽きがこないのは流石といったところでしょう。まあ、細かい内容以前に高級路線のパイプタバコで重要なのは吸っている時に高揚感があるか?という一点に尽きると自分は思っているのですが、このタバコはそういう点では申し分ないです。これはもうヴァージニアフレークのお手本の一つと言っても過言ではないのかもしれません。
 欠点はやや火付きが悪い点と、そこそこパイプによってブレがある点だと思いますが、そこまで気にする程でもなく、パイプによる味わいの違いが楽しめるぐらい癖が抑えられていると好意的に解釈すべきなのかもしれません。

 ではマクレーランドの製品群、バルクの#2015やSt. James Woodsと比べてどうなのか?となると、結果的に言えば、マクレーランドのレッドヴァージニアの代替品にはなり得ない、と言いきれます。熟成によって多少の変異があったとしても現状ではごく当たり前な事実です。しかし、これはどちらが優れているというよりか、構成内容が同じだったとしてもアプローチの違う別の路線ということなのだと思います。非常に良く出来たブレンドには違いありません。ブレンドの妙技という意味ではマクレーランドよりも上なのではないでしょうか。

 これはもうなにを求めているのか?ということではないか、と。個人的にはマクレーランドのヴァージニアはウィスキーで例えるのであれば、樽出しノンチルフィルタードの原酒やボンデッドバーボン、もしくはラムで例えると強く甘い南の島のアグリコールラム、そのような印象でした。タバコ自体のパワーで構成していく感じでしょうか。一方GL Peaseのこのタバコは同じ例えだと、非常に精妙な高級ブレンデットウィスキーのような印象に感じます。どちらが普段吸うタバコに相応しいか、という答えはスモーカーによって異なるのは当然でしょう。

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 結論としてはマクレーランドの代替品にはならない、となりますが、これはこれでストックしてもいいかな、と思わせる逸品でした。恐らくはクセの強いマクレーランドよりもこちらの方がすっといい、と考えるスモーカーも多いのではないかと思います。ヴァージニアを中心に吸うスモーカーは一度ぐらい吸ってみても損は無いはずです。

 個人的には真に上質を求める方々にこそ、こういうパイプタバコをお勧めします。パッケージデザイン、包装、葉の品質、ブレンド、、どれをとっても一流。パイプタバコ業界におけるラグジュアリー感というのはこういう銘柄なのでは、と。特に男の銘品とかそういうジャンルに目が無い方々にうってつけのパイプタバコはこういう路線なのでないか?と常々思っているのですが・・・どうでしょうか。

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コメント

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Re: タイトルなし

どうも、わざわざありがとうございます。
これからも少しずつは更新する予定ではあります。

いやあ、流石にマクレーランド廃業はかなり厳しいです。
自分のパイプ喫煙の基幹がガラっと崩れてしまいましたからねえ。
代替商品が無い、というのは本当に辛い・・・ですがなんとかしなくてはならない訳で。
今後はG&Hが自分の中でのスタンダードなタバコになるのかなあ、、とは思いますが。

思えば2005~2010年ぐらいまでのパイプタバコ業界が一番幸せだったのかもしれませんね。
マクレーランドのバルクが8オンス25ドル以下で買え、エソテリカも品数豊富かつ8オンスパックが
同じく25ドル以下、、10ドルちょいでデンマークのMY OWN BLENDの100g缶が買えた時代。
SGのバルクもかなり安く手に入った記憶もあります。
仮に手持ちのタバコが足りなくなっても1000円ちょいでマレイ時代のダンヒルが近所のタバコ屋で買えましたし、
この時代の少し前であれば1100円ぐらいでバルカンソブラニーすら普通に売っていました。
その頃に比べると情報はかなり豊富になり、雑多にあったオカルト要素も消え、旧態依然だったパイプ業界は
新体制になってきた、、という実感はあるのですが、失った物もかなり多いかな、、とも。

いずれはその時代のパイプスモーキング趣味について私が覚えている限りまとめてみたい・・・
とは以前から考えてはいるのですが、、なかなか他の方に角が立たないように配慮するのが難しく、
まだ実行出来ていません。
まあ、今の時代になったのにもいろいろあったという訳なのですが。
でも出来ればそういうひと昔前の思い出話もしてみたいところです。
では。

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Re: タイトルなし

どうも、どうも。

Smokers' Havenはなにか懐かしさすら感じますね。
今では信じられませんが、以前はsmokingpipes並にタバコが廉価で信頼できるお店だったのですけどね。
確か、事故か何かでタバコ通販が大幅縮小になったと記憶していますが。
しかし、他にも様々な業者が居たにもかかわらず結果的にはスモキンの一強というのも面白いです。

しかし、タバコ選びは難しくなってきている感はあります。
マクレが無くなった以上、他にヴァージニアが強いブランドとなると、
ラットレーかSG/GHかpeter stokkebyeかそんなところなのでしょうが、流石にマクレの代替とまではいかず。
もう宗旨替えの段階だという事は分かってはいるのですけどね。
という訳で最近はpeter stokkebyeのLNFを吸う事が多くなって来ました。
安い、美味い、吸い易い、おまけに買い易い、、とやはりこれは名作の一つですよ。
スペシャルなタバコももちろん興味はありますが、このようなスタンダードなタバコがあってこそ、他が評価出来るとも考えています。

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Re: タイトルなし

毎度、どうも。

まあ、パイプたばこに関する不安感は他にもありますね。
私としては、オーリック・ゴールデンスライスドが日本国内で廃止された点もどうなのか、と思っています。
これにより、バージニアフレーク入門編のタバコが極端に狭まる可能性はありますね。
まあ、確かにSGのFVFやBBF、もしくはマックバレン・バージニア・フレイクが初フレークでも良いのかもしれませんが、価格的にも強さ的にも初心者向けかどうか難しく、似た感じのコモイ・カスクNo.4は価格的に難あり。良作フレークであるソラーニ633も初心者向けとは言えない、かなあ、、と。
何故危惧するかと言うと入門用フレークが無い→VAフレークを吸う人が少なくなる→廃止銘柄が増える→ジャンルが先細る、というようにならないか、という不安です。これは考え過ぎなのかもしれませんが。
ここは一つ、ヴァージニアブレンドのスモーカーを少しでも増やす為に啓蒙活動かなにかするべきなのかもしれません。それが未来の自分の為になれば、とは考えてはいるのですが。

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Re: タイトルなし

どうもどうも。

まあ、確かに私も海外通販が主な調達方法なので、日本国内のパイプタバコ事情にあまり突っ込んだ意見を言える立場ではないのですけどね。とは言え、流石にスモーカーの需要の差があるにせよ日本国内は着香タバコに偏重し過ぎなのではないか、とは思うのですよ。もちろん、過去に何度も本格派のタバコを導入して廃止せざるを得なくなった事情も分かりますし、代理店側も努力を怠ったという訳でも無いとは思ってはいるのですが。だから、定着させるにはまず啓蒙活動、といえば語弊があるのかもしれませんが、なにかしらこういうタバコのジャンルもあるということをアピールするしかない、のかもしれません。

しかし、OGSもなし、ダンヒルフレークもなしとなると、ヴァージニアフレーク入門編は少し難しくなるかなあ、、と。
TLCバージニアスタンダードという線もないことは無いのですが、あれはベテランでも少しキツめに感じる可能性があるかな、とも。
いずれにせよ、どのようなジャンルであれ先細って良い事など無い、とは思います。

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